国際結婚と将来を考える

日韓国際結婚で、まず二人で話したいのは「どちらの国で暮らすか」。ビザ、名字や子どもの国籍、家族や名節、お金の現実まで、将来の話をしやすくするポイントを紹介します。

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日韓の国際結婚を考えはじめたら、最初に二人で話したいのは「どちらの国で暮らすか」です。住む国によって、ビザ・仕事・家族との距離・生活費まで、その後の暮らしの形が大きく変わるからです。とはいえ、今すべてを決める必要はありません。大切なのは、それぞれのテーマを二人で話せる関係をつくっておくことです。

このページでは、結婚の段取りの手前にある「将来をどう考えるか」という視点から、住む国の選び方、ビザの方向性、名字や子どもの国籍、家族・名節、言葉と仕事、お金、価値観のすり合わせまでを順番に見ていきます。

まず話しておきたい「どこで暮らす?」

日本に住むのか、韓国に住むのか、それとも行き来するのか。これは、その後のビザ・仕事・家族との距離・生活費の感覚をまとめて左右する、いちばん大きな分かれ道です。ほかのほとんどのテーマが、ここから枝分かれしていくと言ってもいいくらいです。結論を急がなくても、「自分はどちらの暮らしをイメージしているか」を早めに共有しておくと、あとからのすれ違いがぐっと小さくなります。

考えるときの軸は、だいたい次のあたりです。

  • 仕事・キャリア — どちらの国なら働き続けられるか。資格や言語の壁、転職・在宅の可否、これまでの経験を活かせるか。
  • 家族との距離 — 自分の親、相手の親、それぞれとどのくらいの近さで暮らしたいか。将来、親の介護が必要になったときに動きやすいか。
  • 言葉と生活 — 日常の手続きや人付き合い、病院や子育てを、どの言語でこなすことになるか。
  • 将来の見通し — 子どもの教育、住まい、老後など、長い目で見たときの暮らし方。

ここで覚えておきたいのは、「どちらの国に住むか」は、片方にとっては母国を離れるという大きな決断だということです。母国に残るほうは、相手が言葉も人間関係もゼロから築き直していることを忘れないこと。逆に母国を離れるほうは、「自分が我慢している」という気持ちを一人で抱え込まないこと。どちらかが一方的に犠牲を払う形ではなく、お互いの負担を見える形にして分け合う——その姿勢が、長く暮らすうえでいちばん効いてきます。

なお、「行き来する」「数年ごとに住む国を見直す」という選び方もあります。仕事や親の状況に合わせて、ライフステージごとに住む場所を変えていくカップルもいます。最初に一生分を決めきる必要はなく、今の時点でのお互いの希望の方向を知っておくだけで十分です。

むしろ「絶対にこの国」と早くから固めすぎると、状況が変わったときに身動きが取りにくくなります。「今はこう考えているけれど、状況が変われば話し合おうね」という余白を残しておくほうが、長い目で見ると楽です。

この話題は、付き合いはじめからずっと避けていると、いざ結婚を意識したタイミングで「実はずっと日本を離れる気はなかった」「自分はてっきり韓国に来てくれると思っていた」と、大きなすれ違いになって表面化することがあります。だからこそ、結論ではなく気持ちの方向だけでも、早めに口に出しておく価値があります。

ビザ・在留の方向性と、確認の鉄則

住む国がイメージできてくると、必要なビザも見えてきます。よく名前が挙がる代表例は次の2つです。

  • 韓国で暮らす場合 — 「F-6」(結婚移民ビザ)
  • 日本で暮らす場合 — 在留資格「日本人の配偶者等」

ただ、必要書類・条件・審査の進み方は、時期や個別の状況で変わります。収入や、夫婦のやり取りがわかる資料などを求められる場面もあります。確認先は、たとえば次のとおりです。

  • 日本側:出入国在留管理庁(法務省)、お住まいの市区町村の窓口
  • 韓国側:韓国の出入国・外国人政策本部(法務部)、駐日本国大韓民国大使館・総領事館など

婚姻届を出す順番や必要書類、ビザの要件の具体的な流れは、日韓の結婚手続きの進め方で詳しく見ています。このページでは引き続き、「将来をどう考えるか」を見ていきましょう。

結婚するときに知っておきたい「名字」と「子どもの国籍」

結婚生活の手前で、二人で一度は確認しておきたい制度上のポイントが二つあります。どちらも日本と韓国でルールが違うので、先に知っておくと話し合いがスムーズです。

夫婦の名字は、自動では変わらない

日本人が外国人と結婚しても、日本人の氏(名字)は自動的には変わりません。外国人である配偶者の戸籍はつくられず、日本人の戸籍に、相手の氏名・生年月日・国籍と、結婚した事実が書き加えられます。

相手の名字を名のりたい場合は、結婚の日から6か月以内なら、戸籍の届出窓口に氏の変更の届出をするだけで変更できます。6か月を過ぎると、家庭裁判所の許可を得たうえでの届出になります。

韓国では、結婚を理由に姓が変わることはありません。韓国の外交部も、法令上、結婚を理由にパスポートの姓を変えることはできないと案内しています。つまり、何も手続きをしなければ、二人ともそれぞれの名字のままというのがスタートラインです。仕事で使う名前のことも含めて、どうしたいかを話しておくと安心です。

子どもは、両方の国籍をもって生まれる

日本の国籍法では、子どもが生まれたときに父または母が日本国民であれば、子どもは日本国籍を取得します。韓国の国籍法も、生まれたときに父または母が韓国国民であれば韓国国籍を取得すると定めています。そのため、日韓カップルの子どもは、生まれたときから両方の国籍をもつことになります(海外で生まれた場合は、このあとの届出に注意)。

重国籍の子どもについて、日本には国籍選択の決まりがあります。2022年4月1日に施行された改正後は、重国籍になったのが18歳未満なら20歳になるまでに、18歳以上ならその時から2年以内に、どちらかの国籍を選ぶことになっています。韓国側にも独自の国籍選択の決まりがあり、期限や方法は日本と同じではありません。

韓国など海外で出産する場合は、もうひとつ大切な届出があります。日本人と外国人の夫婦の子どもが外国で生まれたときは、出生の日から3か月以内に出生届を出します。そのうえで、子どもが外国人の親の国籍も取得する場合は、出生届と一緒に「国籍留保の届出」をしないと、生まれた時にさかのぼって日本国籍を失います。

韓国籍をもつ男の子と、兵役のこと

子どもが男の子で韓国籍ももつ場合、韓国の兵役制度との関係で、韓国籍を離れる届出ができる時期に区切りがあります。韓国の兵務庁の案内では、韓国籍の離脱の届出ができるのは18歳になる年の3月末までとされ、その期間を過ぎると、兵役の義務を終えるか、法務部長官の許可を受けなければ離脱できないとされています。

とはいえ、これは今すぐ何かを決めなければいけない話でも、結婚や子どもをもつことをためらう理由になる話でもありません。将来の選択肢を狭めないために「そういう区切りがある」と知っておくための情報です。どう考えるかは家庭によってさまざまなので、必要になったときに、兵務庁や駐日本国大韓民国大使館・総領事館などの最新の案内を確認してください。

韓国の家族・名節という現実

国際結婚では、双方の家族との関わり方も大切なテーマになります。韓国には、명절(ミョンジョル=名節)と呼ばれる伝統的な祝日に親族が集まる文化があり、なかでも설날(ソルラル=旧正月)と추석(チュソク=秋夕)が代表的です。料理の準備や挨拶まわりなど、日本のお正月とは少し違う過ごし方をすることがあり、家族の集まりを大事にする傾向は、日本より少し濃く感じられる場面があるかもしれません。

ただ、ここでの文化や家族の話は、あくまで「そういう傾向もある」くらいの距離感で受けとめてください。韓国の家庭にも一人ひとりの考え方があり、「韓国人だからみんなこう」ということはありません。

며느리(ミョヌリ=お嫁さん)としての関わり方も、家庭によって本当に差が大きいところです。そして近年は、その関わり方もかなり変わってきています。共働きが当たり前になり、家事や料理を家族みんなで分担したり、行事そのものを簡素にしたり、外食や旅行で名節を過ごす家庭も増えています。「嫁が台所で一日中」というのは、もはや一つのイメージにすぎず、実際の家庭の姿はさまざまです。だから、ネットで見かける重い体験談を、相手の家にそのまま当てはめないでください。

とはいえ、日本のお正月の感覚だけで構えていると、関わり方や頻度に戸惑うこともあります。結婚を考える段階で、相手と次のようなことを話しておくと安心です。

  • 名節や法事に、どのくらいの頻度で参加したいか
  • 相手の親との連絡や訪問の、ちょうどいい距離感
  • 行事の準備や負担を、二人でどう分けるか
  • 言葉が通じにくい場面で、相手がどうフォローしてくれるか

こうしたことは、相手にとっては当たり前すぎて、わざわざ言葉にしていない場合もあります。だからこそ、いきなり「無理」と線を引くより、まず相手の家がどんな雰囲気なのかを聞いてみることから始めましょう。「お母さんは名節をどう過ごす人?」「集まりはにぎやかなほう?」と、相手の家庭の実際を知るところからです。そのうえで戸惑いがあれば、責める形ではなく「私はこう感じる」と主語を自分にして伝えると、すり合わせがうまくいきます。

ここでのパートナーの役割はとても大きく、間に立って両方の文化を翻訳してくれる人かどうかは、安心感を大きく左右します。あなたが相手の家族に合わせる努力をするのと同じように、相手があなたの立場を家族に説明し、守ってくれるか——これは、結婚を考えるうえで見ておきたい大事なポイントです。

家族との関わりは「あなた一人が頑張る」ものではなく、二人で一緒に向き合うもの。その前提が共有できているだけで、名節も家族行事も、ずいぶん気持ちが軽くなります。日韓カップルが実際にぶつかりやすい場面は日韓カップルがぶつかりやすいことでも具体的に見ています。

言葉と仕事は、現実的に考えておく

相手の国で暮らす場合、言葉と働き方は生活に直結します。韓国語・日本語をどのくらい使えるか、仕事を続けられるか(転職・在宅・現地での就職など)は、結婚を決める前から少しずつ考えておきたいテーマです。

言葉については、最初から完璧でなくて大丈夫です。生活のなかで少しずつ伸ばしていくものでもあるので、まずは病院・役所・近所付き合い・子どもの学校など「これだけは困る」場面から優先して覚えていくと、暮らしの不安が減ります。相手や周りの助けを借りながら、できることを一つずつ増やしていけば十分です。やさしい韓国語のひとことは恋愛で使う韓国語でも取り上げているので、関係の早い段階から少しずつ触れておくと、移住後の助走になります。

仕事は、住む国の選択とセットで考えると現実味が出てきます。今の仕事を続けられるのか、リモートで続けられる職種なのか、現地で新しく探すのか。資格が相手の国でそのまま通用するかどうかも、職種によって変わります。「相手の国に移れば何とかなる」ではなく、自分のキャリアをどう続けたいかを早めに言葉にしておくと、住む国の話もより具体的になります。

お金と将来設計(「当たり前」のズレ)

生活費、貯蓄、将来の住まいなど、お金の感覚は、長く一緒にいるほど大切になります。国が違うと、ここに「当たり前」のズレが生まれやすいところです。財布を分けるか一つにするか、親への援助についての考え方、貯蓄や保険の習慣、家や車にどれくらいお金をかけるか——どれも、育ってきた環境で前提が違っていて当然です。

たとえば、親へのサポートをどう考えるかは、家庭や世代によって本当にさまざまです。「自分の常識」を相手にそのまま当てはめると、どちらが正しいという話になってしまいがち。そうではなく、お互いの前提が違うだけだと知っておくと、責め合いになりにくくなります。

重い話に感じるかもしれませんが、いきなり細かく決める必要はありません。「将来こうしたい」「これだけは大事にしたい」を少しずつ言葉にしておくだけで、二人のお金のイメージがそろっていきます。完璧な家計プランより、お金の話をタブーにしない関係をつくっておくことのほうが、ずっと長く効いてきます。

価値観のすり合わせは、早めに小さく

ここまで見てきた住む国・家族・言葉・お金は、どれも結局「価値観のすり合わせ」に行き着きます。そして、すり合わせは一度の大きな話し合いで終わるものではなく、小さな会話の積み重ねでできていきます。

おすすめは、重大な決断としてではなく、早めに、小さく、言葉にしておくこと。「私はこういう暮らしがいいな」「将来はこっちに住みたい気持ちがある」「家族とはこのくらいの距離感が心地いい」——そんな軽い共有を、機嫌のいいときに少しずつ重ねていく。問い詰めるのではなく、自分の希望を差し出す形にすると、相手も自分の考えを返しやすくなります。

そして、すべてを今そろえる必要はありません。意見が違っても、「ここは合っている」「ここはこれから話していこう」と分けて置いておけるだけで、関係はずいぶん安定します。価値観のズレそのものが問題なのではなく、ズレを話し合えないことが問題になりやすいのです。

「決める」より「話せる関係」を

国際結婚と将来を考えるとき、住む国、ビザの方向性、名字や子どもの国籍、家族や名節、言葉と仕事、お金、価値観——テーマはたくさんあります。でも、今この瞬間にすべてを決める必要はありません。大事なのは、それぞれについて二人で話せる関係をつくっておくことです。

制度や手続きの具体は公式窓口にゆだね、文化の話は「傾向」として軽く受けとめ、自分の希望は主語を自分にしてやわらかく伝える。それだけで、将来の話はぐっと現実的で、やさしいものになります。出会いの入口から関係の進み方をふり返りたいときは韓国人男性が気になる方へを、価値観のすれ違いを具体的に見たいときは日韓カップルがぶつかりやすいことを、手続きの段取りは日韓の結婚手続きの進め方を、あわせてどうぞ。

よくある質問

付き合う前から結婚の話を考えてもよいですか?

すぐに結論を出す必要はありませんが、住む国、仕事、家族や名節との関わり方など、自分にとって大切な条件を知っておくことは役立ちます。

ビザや手続きの情報はどこで確認すべきですか?

韓国に住むなら結婚移民ビザ(F-6)、日本に住むなら「日本人の配偶者等」が代表的です。ただし条件や書類は時期で変わるため、公的機関・公式窓口の最新情報を確認してください。

日韓の結婚手続きは、どちらの国から進めますか?

どちらの国で先に婚姻を成立させるかで必要書類や順番が変わります。両国の役所・大使館/領事館の案内を確認し、二人で順番を決めてから動くのが安心です。

参考・出典

  1. 法務省:国際結婚、海外での出生等に関する戸籍Q&Amoj.go.jp ・ 2026年10月2日閲覧
  2. 在留資格「日本人の配偶者等」|出入国在留管理庁moj.go.jp ・ 2026年7月1日閲覧
  3. 在外公館における証明(婚姻要件具備証明書など)|外務省mofa.go.jp ・ 2026年7月1日閲覧
  4. 在留資格「日本人の配偶者等」(日本人の配偶者の場合)|出入国在留管理庁moj.go.jp ・ 2026年10月2日閲覧
  5. 結婚移民(F-6-1)査証申請のご案内|駐日本国大韓民国大使館jp.mofa.go.kr ・ 2026年10月2日閲覧
  6. 法務省:国籍選択についてmoj.go.jp ・ 2026年10月2日閲覧
  7. 法務省:国籍Q&Amoj.go.jp ・ 2026年10月2日閲覧
  8. 大韓民国 国籍法 第2条(出生による国籍取得)|国家法令情報センターlaw.go.kr ・ 2026年10月2日閲覧
  9. 大韓民国 国籍法 第12条(複数国籍者の国籍選択義務)|国家法令情報センターlaw.go.kr ・ 2026年10月2日閲覧
  10. 配偶者のローマ字姓の追加・変更に関する案内|駐米国大韓民国大使館(韓国外交部)mex.mofa.go.kr ・ 2026年10月2日閲覧
  11. 複数国籍と兵役義務|韓国 兵務庁mma.go.kr ・ 2026年10月2日閲覧

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